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税務調査官は厳しい「評価」に晒されています

「調査官には追徴税額のノルマがないのであれば、あんなに無理やり追徴税額を課そうとしなくてもいいのに・・・」
経営者がこう思うのも当然でしょう。

一生懸命な税務調査官を生み出すメカニズム。
これにはノルマではないカラクリがあります。

前回(税務調査官も“ノルマ”があって、ツラいんです。)お伝えしたとおり、税務調査で調査官は件数のノルマを負わされつつ、実は、「評価」は別途行われています。

調査官も公務員というサラリーマン。
他の国家組織と違うのは、完全な年功序列で昇進昇格するのではない、ということです。

では、どうやって評価されているのか?
続きでご紹介します。

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■調査官の評価基準その1は「増差所得」

調査官は、今まで担当した税務調査でどれだけの増差所得(税務調査前と後で、利益の金額がどれだけ変わったのか)で評価されています。
増差所得の金額が大きければ大きいほど昇進昇格が早くなり、出世できる仕組みです。

いわゆる「期ズレ」という否認事項が頻繁に指摘されるのは、評価が増差所得で行われていることが理由です。

期ズレとは、本来、当期の売上にすべきものが来期の売上になっている場合を言います。
確かに本当に、当期に計上すべき売上が来期に計上されていれば、当期の利益が過少となり納税すべき額も過少になるので、修正申告をしなければいけません。しかし、期ズレの問題は明確に線引きできない場合も多く、また、当期の売上として修正申告したとすると、同額来期の売上が減るので、二期合算すれば同じ税額ということになり、特に国として税収が上がるというものではありません(延滞税が発生するので、その分は国の取り分になります。)。

それでも躍起になって「期ズレ」を探すのは、増差所得という意味では、他の否認事項と同じだからです。
いち国民としては溜息が出てしまいますね。

■調査官の評価基準その2は「不正発見割合」

調査官の評価はもう1つあります。それは「不正発見割合」です。

簡単にいうと、悪いことをしている=脱税している会社を見つけた割合なのですが、具体的には、重加算税を課した割合です。

税務調査を10件行い、3件重加算税を課したとすると、30%の不正発見割合ということになります。
この不正発見割合が高い調査官も評価され、早く出世することができます。

これが、「本来重加算税の対象ではないのに重加算税を課す」という悪習に繋がっています。
我々税理士がちゃんと対応しないと、「納税者に損をさせて調査官が出世する」という不合理が発生してしまいます。

本当に誤りがあるのであれば、当然修正すべきですが、誤りもないのに無理やり指摘してくることに対しては、断固として反論すべきです。

■評価から分かる税務調査対応で気をつけるべきこととは?

実際に国税組織では、明らかに年下の上司(統括官といいます)が、年上の部下(調査官)を使っているのを目にすることができます。
出世の早い調査官は、今まで多額の増差所得を発見し、課税してきたのです。

通常、二人一組で調査は行われます。
役職と年齢が不一致な組み合わせの場合、若い上司の方に要注意!ということです。

出世に燃える調査官ほど、無理やりでも誤りを発見したり、特に不正を発見しようとします。
実際には誤りがなくても「これは経費にできませんね」「これは売上の計上時期がズレていますね」と平気で言ってくることもあります。

そういうことを平気で言ってくるということは、おそらくどこか他の税務調査の現場では、それで増差所得を獲得できた事例があったのでしょう。我々税理士の関与割合が9割近い中で、このような状態が存在することは、本当に問題だと思います。

■税務調査に「おみやげ」が必要か?

昔から、「税務調査ではお土産が必要」と言われます。

お土産とは、税務調査で何も誤りがない場合に、調査官としては税務署に帰りづらくなってしまうので、わざとこちらから誤りの箇所を調査官に教えてあげる、また本当は間違っていないのに、修正申告をしてあげる行為を指しています。

確かに調査官は、誤りを見つけて評価されているわけですから、何も誤りを発見できなければ、気まずい思いをしているかもしれません。
しかし、これでは何のための税務調査かわかりません。

余談ですが、だいぶ前に、お土産が必要だと聞いた70代の社長が、調査の最終日に、調査官にまんじゅうを渡すという事例に出くわしたことがあります。その時は、本気でズッコケました。(調査官も面食らっていました。もちろん、まんじゅうは持って帰りませんでした。)

調査官の評価など気にする必要はありませんので、普通に対応頂ければと思います。

この「普通」が難しい・・・と良く相談されていますが、私にご依頼頂ければ、「普通」の結論になるように対応させて頂きます。

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