定款とは会社の憲法にあたるもので、会社の設立手続き上、必ず作成しなければならない書類の一つです。
会社法は、会社の運営につき定款自治を謳っています。
つまり、定款を作成するということは、これから設立する会社の根本規則(最も重要な決まりごと)を策定することを意味します。
その作成にあたっては、発起人の全員によって作成することを要し、次の事項を記載し、発起人が署名または記名捺印して公証人の認証がなければその効力を生じません。
定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項とがあります。
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項(その規定を欠くと定款が無効になる)です。
相対的記載事項は、記載がなくても定款の効力自体には影響がないが、定款に定めない限り、その事項の効力が認められないものです。
任意的記載事項は、その記載がなくても定款が無効になるわけではなく、また、定款に記載しなくてもその効力が否定されるわけではないが、会社が任意に会社の基本的事項として、あえて定款の中に記載した事項をいいます。
つまり、株主総会決議、取締役会の制定する規則等により定めても効力が生ずる事柄につき、その取り扱いを対外的・対内的に明確にする観点から定款に記載する事項といえるでしょう。
任意的記載事項としてこれらを定款に記載した場合には、以後、その内容を変更するためには定款変更という株主総会の特別決議が必要となります。
その意味で、会社の根本規則として当該規定に重みが加わることになります。
以下、3者の記載事項につき具体的に紹介します。
■絶対的記載事項
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額または最低額
⑤発起人の氏名または名称および住所
⑥発行可能株式総数
⑥については、会社の設立登記までに、発起設立の場合は発起人全員の同意で、募集設立の場合は創立総会でこれを定めれば、公証人の認証を受けることはできる。
■相対的記載事項の例
①取締役会、監査役(監査役会)、会計参与、会計監査人などの期間設計
②株主総会招集期間短縮
③株式譲渡承認機関の別段の定め
④取締役の任期伸長
⑤譲渡制限株式についての売渡し請求の旨
など
■任意的記載事項の例
①定時株主総会の招集時期
②議長
③営業年度
④取締役及び監査役の員数
⑤公告方法
など
この記事では、定款についての基礎知識をご紹介しました。
定款作成にあたって、絶対的記載事項のみを定めて公証人の認証に臨むことも可能ですが、それでは会社の憲法たる根本規則としては不適切です。
定款は、内外の関係者に、会社の所有者たる株主の会社運営に対する基本姿勢を示すものであることを忘れないでください。
また、実務的にも、絶対的記載事項のみでは、設立登記事項のすべてを満たさないため、登記までに定めて書類にしなければならない事柄が発生します。
定款については、その作成にあたって最低限押さえていただきたい事項について、記事を改めて述べさせていただきます。