「税金は出来るだけ払いたくない!」
お客様に良く言われる言葉です。
そして、経営者の方は色々と策を練って私を質問攻めにします。
その時、一番困るのが租税回避行為の話です。
租税回避行為というのは、「法律的には適法だが、通常の商行為から逸脱している取引を起因としている行為」のことです。
「法律的には適法」なので脱税ではありません。
しかし、「税を回避するため『だけ』に行われた」と認定された場合、租税回避行為として、その取引で発生した費用については、税務上否認される(=損金として認められない)ことになります。
まとめると次のようになります。
◆節税 適法 ビジネス上通常の取引 是認
◆租税回避行為 適法 節税だけを目的とした取引 是認又は否認
◆脱税 違法 否認
この租税回避行為が否認される場合、「行為計算の否認」という方法が取られます。
法人・個人が現実に実施した取引自体を否認するという、税務署の伝家の宝刀です。
したがって、税務署側もむやみに振り回すわけではありません。
しかし、一度、その刀が抜かれると、法人・個人のキャッシュ・フローに与える影響は甚大です。
次のような影響があります。
1.修正申告による税金の納付・・・法人税・所得税、消費税にも影響あり
2.重加算税・・・修正税額の35%又は40%
3.過少申告加算税・・・修正税額の10%の加算(さらに5%の加重のケースもある)
4.延滞税・・・7.3%又は公定歩合+4%のいずれか低い割合
※但し、2と3はいずれかが課されます。
問題は、その行為が租税回避行為に該当するかどうかの事前の判定です。
判例はありますので、そちらと同じであれば、その是非は判断できます。
ただ、実際には判例と同じ事案になることはなかなかありません。
我々税理士としては、お客様にリスクを説明し、最終的にその取引を行うかどうかを
経営者の方に決めて頂くしかありません。
「事業を成長させる」という観点からは、こうした租税回避行為を検討するための時間を、正当に売上を上げるために使って頂くようにアドバイスさせて頂く場合もあります。