中小企業にとって、パートタイマーがもたらす力は軽視できません。「パートさんをもっと戦力的に使えればなあ...」。経営者の方なら誰もが思っていることでしょう。
利益を生み出す主婦パートを育てるすごい方法―パート社員が社長さんに伝授! (東洋経済新報社 定価・税別1,600円)という本をご存じでしょうか
同書にはパート社員を戦力化するための仕組みとノウハウが満載です。
タイトル通り、著者の鈴木ゆかり氏と関美分氏は、2人とも会計事務所系列のコンサルティング会社のパート社員。しかし、中小企業から一部上場企業まで年間50回以上の研修をこなしており、働きぶりは正社員とまったく変わりません。
では、どうすればパート社員が重要な戦力になるのでしょう。
それは、2人が勤務している鈴木眞一会計事務所(静岡県浜松市)グループの仕組みによるものが大きいのです。
「子供の病気・行事等は優先いただいて結構」
「子供の病気・行事等は優先いただいて結構です」。
これは、同グループがパート社員を採用する際の求人広告のキャッチコピー。
パート社員が仕事をする上でネックとなる、育児についての不安を取り除く努力をしているのです。主婦はどうしても育児が大きなウエートを占めます。子供の病気や行事で気兼ねなく休むことができれば、その分安心して仕事に打ち込めます。
「よく働いてくれるから」とついつい残業を頼まない
また、パート社員には「1日5時間」という労働時間の枠を設け、残業をさせない方針を貫いています。通常なら「よく働いてくれるから」と、ついつい残業を頼んでしまいがち。しかし、そうするとパート社員は家庭との両立が難しくなります。すると、必ず業務にもしわ寄せがきます。
一方、仕事に関する責任はパート社員も正社員も同じ。違うのは勤務体系だけです。
働きやすい環境とチャンスを与えれば、パート社員でも活躍し、利益を生み出すということを、著者の2人が書籍に綴ることで示しております。
これからの時代、主婦は育児だけでなく介護という問題もついて回ります。「働きたいけれど、時間に融通がきくところがない」と、せっかくの能力を眠らせている主婦は少なくありません。主婦が抱える不安を取り除き、生き生きと働ける環境を整えれば、パート社員の戦力化も実現するのではないでしょうか。