ニッチな市場がなぜ良いのか?

ランチェスター戦略など、中小企業向け経営戦略のコンサルティングの際に、ニッチな市場で勝負した方が良いと良く言われます。

しかし、実際に、経営者の立場に立つと、ニッチな市場に特化するのは勇気がいります。
なにより、そのニッチな市場以外の仕事を失ってしまうという恐怖があるからです。

私もニッチな市場でナンバー1になるべく起業ナビという会社を経営しています。
起業ナビの市場は”社外経理部”という市場です。

社外経理部というのは、会社の経理部を経理部長から経理課長、一般社員まで、ごそっと外部から当社が提供することをいいます。
去年までは、経理アウトソーシングといっていたのですが、経理アウトソーシングという言葉を使って、記帳という経理業務の極一部を行なっている会社が多いことから、今年から”社外経理部”という言葉を作ってマーケティングを展開しています。
ネーミングを変更した成果か、徐々に問い合わせが増えています。

さて、このように今まで無かった市場を作ることを含めて、ニッチな市場の中で、ナンバー1になる。ナンバー1を目指す方が、実際に効率が良いわけですが、これを如何に経営者の方にご納得頂くかについて、最近閃いた例え話がありますので、続きでそれをご説明したいと思います。

■普通の説明

まずは普通の説明をしたいと思います。

いまA社とB社という2つの会社があります。
ほぼ同じ労働力をもつ両社が同時に起業したとします。

A社はニッチな市場に特化し、
B社は広い市場にサービスを展開します。

この時A社はニッチな市場に特化した結果、
B社よりも効率的に売上を上げることが出来ます。

(なんとかの二乗とかいう話は省きます)

■例え話で説明

次に最近思いついた例え話でご説明しましょう。

いま、2つのビーカーに水が1リットルずつ入っています。
この水の量が経営資源の総量です。
ビーカーの水位の高さは、経営資源から生み出された価値を表しています。
2つのビーカーの水位は同じ値を示しています。
(同じビーカーに同じ量の水が入っているのだから当然ですよね。)

Aさんは、この水を「メスシリンダー」に入れました。
Bさんは、この水を「たらい」に入れました。

どちらの水位が高くなるでしょうか?

当然、メスシリンダーの方が高くなりますよね。

この例え話では、「たらい」の底面積がその業態における市場規模を表します。
そして、メスシリンダーの底面積が経営者が選択したニッチな市場です。

それぞれ同じ経営資源を投入したにも関わらず、水位に違いが発生しています。
冒頭ご説明したとおり、水位は価値を表しています。

Bさんは、市場に対して薄く広く価値を提供しました。
Aさんは、ニッチな市場に集中して価値を提供しました。
その結果として、特定のニッチな市場に対しては特に高い価値を提供することになったのです。

■現実世界に置き換えてみる

困ったことに現実世界では、ビーカーの水は等しく与えられているわけではありません。
大企業は大量の経営資源を保有しているので、広い市場でも高い水位を維持することが出来ます。

すでに「たらい」の中はかなりの水位まで満たされているのです。
こうした状況の中で、少ない経営資源を広く分布させることは得策ではありません。

メスシリンダーの底面積は小さければ小さいほど、水位は上がります。
同じ労力でも、価値を最大化することが出来ます。

「たらい」のどこか極一部で抜きんでることが出来る可能性があるのです。

■特定の顧客に対する提案で良い

もし、いま御社にとって最も望ましい顧客が一人でもいるのであれば、その顧客に対しての提案をひたすらマーケットに問うという方法も良く言われることです。

これは、ニッチな市場へ特化することを、より具体的なマーケティング行動で促すための言い方になります。
それはつまり、メスシリンダーでいうところの、底面積を極小化することに他なりません。

こうすることで、どこかに存在するその顧客と同じ属性を持つ顧客にとっての価値が最大化されるのです。

そんな顧客は沢山いないという反論はあるでしょう。
しかし、それを言うなら、望ましい顧客に囲まれることを放棄して、望ましくない顧客と付き合って疲弊したいのですか?と問いかけたいと思います。

■ニッチな市場を固定しないのも重要

一方で、ニッチな市場をあまりにも固定するのも問題です。
特に起業して間もない間は、顧客の数が少ないので気をつけなくてはいけません。

顧客の数が増える度に、一定期間毎に、それぞれの顧客の共通点をリストアップして、望ましい顧客像の定義を変更していく必要があります。

望ましい顧客像をより抽象化してあぶり出すことで、市場のニッチさがより際立つと同時に、従来よりも幅広い顧客層にアプローチできる可能性が広がってくるでしょう。

そのとき、御社のビーカーはスタートした時とは違って、ある程度の経営資源で満たされているはずです。

このようなマーケティング活動を通じて、会社を安定的に成長させるのが経営者の大事な仕事だと思います。

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