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社長!そのサービス精神は税務調査には不要です

税務調査は通常、朝10時から始まります。そこでまず調査官は、世間話から切りだしてきます。「最近めっきり寒くなりましたね」「先日の地震の影響は大丈夫でしたか?」などなど。
社長からすると、「前置きはどうでもいいから、早く税務調査を始めてくれよ!忙しいんだから」と思うでしょうが、調査官からすると、世間話も大事な税務調査のテクニックの1つなのです。

税務調査を喜ぶ社長はいません。ですから特に税務調査初日は、社長が調査官を警戒しているのが当然です。調査官も警戒されたままでは、社長が質問に対してまともに答えてくれるわけがありません。だからこそ、世間話をすることで、社長に心を開いてもらうことから始めるのが調査官のテクニックなのです。
社長も話すことに慣れてくると、調査官はどんどん話し込んできます。

調査官:「社長はゴルフが好きなんですか?」
社長:「そうですね、まあたまに行きますかね。付き合いもありますし。」
調査官:「どれくらいのスコアでまわられるんですか?」
社長:「うーん、最近はダメでやっと100切れるくらいかな~」
調査官:「月に何回くらいゴルフに行かれますか?」
社長:「月に2、3回かな」
調査官:「プライベートでは誰と行ったりするんですか?」
社長:「プライベートでは、仲の良い社長連中と行ってるよ」
調査官:「プライベートで行っているゴルフも会社の経費になってるんじゃないですか?」
社長:「・・・」

これは非常に簡単な例ですが、社長が話し過ぎたことで、プライベートの経費を否認されてしまう典型例です。

では、「調査官の質問に対して無視をすればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、これはダメです。税務調査は「受忍義務」があるので、質問には答えなければなりません。しかし、話し過ぎもダメなのです。

つづきで、私どもが採用している正しい税務調査対応についてお伝えしつつ、このやり取りの正解も公開したいと思います。

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※非売品の税務調査マニュアルです。

■社長は税務調査対応をしない
私どもの事務所では、出来る限り社長には税務調査に立会って頂かないようにしています。その方が社長も通常業務を進めることが出来ますし、ヒアリングから否認事項が発生するのを防げるからです。しかし、そうは言っても、全く調査官と接触しないで済ますということも難しいという現実があります。会社の規模がある程度のレベルになるまでは、初日の朝10時から1時間くらいは、社長による会社概要の説明を求められるのが普通です。

一般論として、社長を務めることが出来る方は、普通の人に比べると話好きな方が多く、調査官もそれを良く知っているので、何か否認のネタになる話を聞きだそうと、色々と話しかけてきます。したがって、調査官と話をする際には、下記の点に注意して話をして頂けると大変助かります。

①回答は結論だけを簡潔に
余計なことを言わないことを意識し、手短に結論だけ回答して下さい。質問範囲外の回答から突っ込まれてもめ事になるケースが非常に多いです。
②不明確なことを言わない
調査官の質問に対して、不明確にもかかわらず、とりあえず回答するのはトラブルの元です。「経理は任せている」「後日調べて回答する」と答えるのが正解です。
③結論を急がない
税務調査を早く終えたい気持ちはわかりますが、十分に調べてから後日きちんと反論すべきです。

■税理士の税務調査対応も最小限にする

税理士も人間ですので、調査官と長時間接触すればボロを出す可能性を否定できません。話しかけられても無視すれば、調査に非協力的ということになってしまいます。
また、税務調査の立会業務は、時間に応じて報酬をご請求させて頂いております。したがって、調査対応を私どもすればするほど、調査対応報酬が増えてしまいます。

私どもの場合は、こうした状況を勘案して、調査の立会の時間を最小化させて頂く工夫をさせて頂いています。
結果的に、調査官の方は、お客様の会議室で黙々と調査に没頭できる環境になりますので、このやり方を拒否されたことはありません。

■ワンセンテンスで回答する訓練

冒頭のやり取りについて、正しい回答は下記のとおりです。

調査官:「社長はゴルフが好きなんですか?」
社長:「そうですね。」
調査官:「どれくらいのスコアでまわられるんですか?」
社長:「調査とどういう関係があるんですか?」
調査官:「プライベートで行っているゴルフも会社の経費になってるんじゃないですか?」
社長:「なってません」

「調査とどういう関係があるんですか?」はちょっと勇気がいる回答かもしれません。
ココは何も言わずに、黙っているという対応もありだと思います。そこをすかさず顧問税理士が釘を刺すという方が、経営者と調査官の間にカドが立たないので良いかもしれません。

いずれにしても、おしゃべり大好きな経営者が、ワンセンテンス回答を身につけるのは大変だと思います。
顧問税理士としては、事前の打ち合わせで、事例を交えながら、対応方法を伝授するのが大事な仕事です。

当日、社長がちゃんとワンセンテンスで回答してくれるか、いつもドキドキしながら立ち会っています。
ある意味、社長よりも緊張しているかもしれません。
そう思って、税務調査を楽しんで頂けたらと思います。

※この記事は2012年2月末現在の法令等に基づき作成されています。

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