定款の目的にアレもコレも詰め込んでしまいがちな起業家の皆様へ

定款を作成するにあたって、会社の目的をどういう言葉で表現するのか?は、最初に悩むことの一つだと思います。

それを調べようとgoogleやyahooで検索すると、定款の目的を設立後に変更すると、登録免許税だけで3万円かかるという情報が飛び込んできます。同時に、会社設立サイトを見ると、会社の目的は後で変更しなくても良いように、出来るだけ範囲を広めに登記しておいた方が良いという情報まであります。

本当にそうでしょうか?

いま、この記事をご覧頂いている方でも、多くの方が登記簿謄本自体をご覧になったことが無いという方だと思います。
つまり、登記簿謄本は、「見る人が見る」情報です。

まずは、その「見る人」が誰かを御紹介すると共に、定款の目的を決めるに際して、どのくらいの範囲まで拡げて登記をしておくべきかについて解説していきたいと思います。

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■登記簿謄本を見る人

登記簿謄本を見る人とは、例えば、
(1)銀行などの金融機関
(2)取引先や信用調査会社
(3)補助金や許認可を出す役所
などが、登記簿謄本をみる代表的なグループです。

彼らが、なぜ登記簿謄本を見るのかというと、
(1)その会社が本当に存在しているのかの実在性の確認
(2)誰が経営しているのかなど人に関する確認
(3)何をする会社なのかの会社の事業内容の確認
などを目的にしています。

このうち、会社の目的は、(3)の事業内容の確認として欠かせない情報となります。

■その沢山の目的を「見た人がどう思うか」

事業内容を確認するために、やたらと沢山の目的が書かれている謄本を見たら、あなたならどう思いますか?この質問の答えを考えて頂けば、なんでもかんでも登記しておこうという考えが、どれほどイマイチな発想かがご理解頂けると思います。

私の経験に基づく主観ですが、謄本を「見る人」は、意外と定款の目的を変更したら登録免許税が3万円かかるということをご存じない方が多いです。したがって、なんでもかんでも定款の目的に入っている謄本を見れば単に「変な会社」「怪しい会社」という印象を持たれるだけです。

仮に登録免許税の件を知っていたとしても、同じような感想をもつことでしょう。3万円という金額は個人としては高額なお金ですが、法人という概念では大したお金ではないと捉えるのが普通なのです。(「お金に関する価値観を個人と法人で分ける必要がある」という話はまた別のところで記事にしたいと思っています。)

結果として、起業家の側からすれば、3万円をコスト削減することで、金融機関などからの評価を落とすということです。その損害額は3万円の比ではないことでしょう。

■いまやってなくても入っていておかしくない目的

定款の目的をやたらと沢山書くことの弊害はご理解頂けたと思います。
基本は、実際に行う事業のみ書くということです。

そのうえで、こういう目的だったら追加しておいてもおかしくないというものをご紹介したいと思います。

私が検討のうえ、必要と認められた場合に目的に加えて頂くのをおススメするものは以下の目的です。
(1)(他の事業目的に関連した)派遣事業
(2)(他の事業目的に関連した)人材紹介事業
(3)(他の事業目的に関連した)生命保険販売代理業
(4)(他の事業目的に関連した)損害保険販売代理業

いずれも許認可、免許にかかわる事業という特徴があります。定款にこの目的が入っていないと開業することが出来ない事業ということになります。また、「他の事業目的に関連した」という前書きを入れたとおり、既存事業に関連して実施する可能性のある事業です。

生命保険代理業や損害保険代理業は、既存顧客に対するアップセル(追加販売)の為の商品として取扱を行う場合があります。取引先が増えてきた場合に、さらに収益力をアップする為には取り組み易い事業といえます。

是非、「将来実施する可能性があるか検討のうえ」定款の目的に追加を頂けますよう、お願いいたします。

■「相手がどう思うか」「どこにお金をかけるか」は商売・経営の基本

近年、会社設立のハードルが大幅に下がった結果、ここで取り上げたような事例を見かけることが多くなって来ました。特に、低価格化により、プロの指導が行き届いていない会社設立が多くなったと感じています。

どういう方法で、いくらのコストをかけて会社を設立するかは、起業家の最初の経営判断です。

これをやったら相手がどう思うか?
どこにお金をかけるのか?
を考えるのは商売・経営の基本です。

会社設立から経営なんだ!と強い意識で取り組んで頂きたいと思います。
私も全力支援させて頂きます。

※この記事は2012年1月時点の法令等に基づき記載しております。

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