そこで、この中古建物を買い取るための資金を銀行に融資していただきたいと考えていますが、申込み時には銀行の方にどのようなお話をすればよいのでしょうか?
回答
①借入をしたい金額
②借りたお金の使いみち
③返済方法についての希望(期間、借入の種類)
④借りたお金をきちんと返せる見込みであること
を銀行の方に丁寧に話してください。
以下で、この回答について、前編、中編、後編に分けてもう少し詳しくご説明をします。
借入を申し込むにあたっての心構え
今から書くことは聞けばとても当たり前の話なのですが、実際に銀行からお金を借りる際にこれが実行できている中小企業経営者は残念ながら多くありません。
大切なことは、お金を貸す側の立場にたって彼らが必要とする情報を自主的に説明する、ということです。
別の言い方をすると、お金を貸すことに対する彼らの不安をできるだけ少なくするような申込みのしかたをするということです。
銀行が事業者に貸し出すお金は預金者から預っているお金です。
そのため貸し出しは慎重に行わざるをえません。
融資申込時には、まずはこのことを理解することからスタートしてください。
例えば、お金の使いみちを説明もせず、いきなり「いくらまでなら貸すことができる?」と言って借入の申込みにきた人を貴方は信用しますか?
同様に、借りたお金をどう返していくのかについての見込みの説明なしに、「いざとなったらこの保険を取り崩して返済する」とか「この土地を売って返済する」などと言われたら、本当にお金が返ってくるのかかえって不安にならないでしょうか?
このような話をする人に、貴方は他人から預っているお金を貸すことができますか?
銀行の各支店は多数の融資先企業を抱えています。
必然、営業担当の方も一人で何十件もの融資案件を抱えることになります。
そして、当然ながら、彼らには御社の事情や狙い、借入理由などは分かりません。
ときに、親切で習熟した方が貴方の対応をしてくだされば、融資を得るために必要な情報を質問しながら聞きだしてくれることがあるかもしれません。
しかし、それはただの幸運です。
お金を借りたい側が、上の①~④をしっかりと説明すべきです。
一方で、銀行の基本的な収益は、預金者に支払う預金利息と貸付金から発生する受取利息との差額です。
つまり、融資は銀行にとっての本業で、基本的には彼らはお金を貸したいのです。
貸したいとは思っているけど慎重にもならないといけない相手を動かすために、借り手の側から積極的に情報を開示し、説得力のある資料を添付しつつ筋の通った申込みをする。
融資を申し込む際には、この心構えがとても大切です。
実際に借入ができるかどうかの可否や、借入できる金額は、銀行によって行われる借入申込者の格付、担保や保証人の有無等で大勢が決まってしまいます。
心構えのみで、黒が白に変わることはありません。
しかし、グレーを白にできる可能性はあるのです。
また、このような心構えで融資の申込みにあたるということは、会社にしっかりとした資金管理や投資計画が自然に根付くことを意味します。
この心構えを持つことで会社の土台ががぜん堅固なものになります。