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大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

商談時のテクニックについては、いろいろな本が出版されています。
せっかく増やした見込顧客を顧客に変えるためには、商談のテクニックが不可欠だからです。

そうした書籍の中から、ここでは、大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
(ニール・ラッカム (著), Neil Rackham (著), 岩木貴子 (翻訳) )をご紹介したいと思います。

この本の面白いところは、実際の商談を分析して、大型商談を成立させるためには、どのように質問をしていけば良いかを明らかにしている点です。つまり、新たな「発明」ではなく、売れている営業マンの商談からの「発見」なのです。
法人営業(B to B)の方は必見の書だと思います。

それでは、具体的に見ていくことにしましょう。

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商談を成約に結びつけるには、潜在ニーズを顕在ニーズに変えて、そのニーズを満たす方法を提示する必要があります。
問題は「どうやって?」です。

その為の方法として、この本では「SPIN」式の質問話法を展開します。

■「SPIN」とは何か

SPINとは、
S:Situation
P:Problem
I:Implication
N:Need-payoff

の頭文字をとった造語です。

要約すると次のような順序で商談を展開していくことを指しています。
:一流のビジネスパーソンはまず「状況質問」をして見込客の背景情報を得る。
ただし、この質問は相手を退屈させたりいらつかせたりする危険があるので多用は避ける。
:「問題質問」に素早く移行し、見込客が抱える問題点や支障、不満を探る。この段階で潜在ニーズを見つけ出す。
:大型商談では、ここで「示唆質問」をして潜在ニーズをより差し迫ったものにしていく。
:行動を起こさなければならないほど重大な問題だと見込客が同意したら、
「解決質問」を用いて解決策に目をむけさせ、それがもたらす利点は何かを見込客に語らせる。

■S:Situation 状況質問

潜在ニーズを探るための質問として、「状況(Situation)質問」を、まずは行います。
状況質問とは、見込客の現状に関する事実を見つけ出すことを目的とする質問で、「具体的にどういった事業をされているのですか?」「購入決定権をお持ちですか?」などの質問が、状況質問に分類されます。

状況質問は失敗商談の時に多く用いられており、また、新米営業マンの方が多様しています。
つまり、この質問が多すぎると成約確率が落ちるということです。
聞いている方が、イライラしてくるということかと思います。

できる営業マンは、不必要な状況質問をしない。
これがポイントのようです。

■P:Problem 問題質問

次に、見込み客に潜在ニーズを語らせるために、「問題(Problem)質問」を行います。
問題質問とは、見込客の抱える問題点や支障、不満に関する質問のことで、「今の設備は使いにくくないですか?」「◯◯には満足していらっしゃいますか?」などの質問が、問題質問に分類されます。

小型の商談の場合は、この問題質問が大きなポイントになるそうです。
一方で、大型の商談の場合は、小型の商談に比べるとそれほど影響が大きくないものの、成約率の上昇については同様に見られるようです。

問題質問は状況質問よりも難易度が高いので、商談の前に「この見込客のどんな潜在ニーズが解決できるだろうか」を検討し、準備しておく必要があります。

■I:Implication 示唆質問

商談を成功させるには、潜在ニーズを顕在ニーズに変化させる必要があります。
その為に用いるのが、「示唆(Implication)質問」です。
示唆質問とは、見込客が抱える問題の与える影響や結果などについての質問で、「そのせいでコストが高くなっていませんか?」「そのことで計画されている事業拡大が遅れませんか?」などの質問が、示唆質問に分類されます。

問題質問で潜在ニーズが明らかになったのだから、いきなり解決させれば良いと思われるかもしれませんが、小型商談ならいざしらず、大型商談の場合には、
この示唆質問の有無によって、大きく成果に違いが出るそうです。
というのも、ニーズのレベルが潜在ニーズの状態の場合、高額の大型商談の成約について、購入者が納得するに足る状況にはまだなっていないからです。
問題の深刻さを認識させ、ニーズを育てる必要があるということです。

示唆質問は難しいので事前の準備が必要です。
1.見込客が抱えていると思われる問題点を書きだす。
2.その問題に関連したほかの問題がないかを考える。
3.書きだした問題点について、どんな質問が可能か考える。

示唆質問は、見込客を悩ませます。見込客がネガティブな気分になったり、落ち込んだところで、最後の質問に移ります。

■N:Need-payoff 解決質問

見込客の意識をプラス面に向けるために用いるのが、「解決(Need-payoff)質問」です。
解決質問とは、提案された解決策の価値や効用に関する質問で、「例えばどんな利点があるでしょうか?」「どうしてそれが重要なのですか?」などの質問が、解決質問に分類されます。

この質問により、見込客は問題点ではなく解決策に注目し、問題を解決しようというポジティブな方向に意識が向いていきます。
また、見込客の側から利点を語らせることができるのもポイントです。

さらに、解決質問には反論を減らすという効果もあります。
すべての問題を解決出来るわけではないかもしれないが、それでもこの解決策を採用することは価値があると見込客に認めさせる力が解決質問にはあります。
本人が利点を認めて語っていれば、尚更といえるでしょう。

上手に使いこなすためには、次の点に注意が必要です。
1.商談の初期段階では使わない。
ニーズが顕在化していない段階で解決質問をしても売り込みであって意味がない。
2.答えが解らないときには使わない。
自社の商品では答えることが出来ないニーズに対して、
「どうしてそれが必要か」聞いても逆効果。
解決質問の最高のタイミングは、自社の商品が答えられるニーズが出た時のみ。

事前の準備としては、ロールプレイングを実施します。
1.友人や同僚に「見込客」になってもらう。
2.相手のニーズを想定する。
3.「解決質問」をして、相手にそのニーズを満たすことによる利点を語らせる。

■実際の商談から導きだされた法則の説得力

如何でしたでしょうか。
本書の魅力は、実際の商談から導きだされた法則の説得力だと思います。
今回は、第5章と第6章を要約してご紹介していますが、その他の部分にも示唆に富んだ指摘が沢山あります。全起業家におススメできる書籍だと思います。

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