経営者にとって税務調査は嬉しいイベントではないですよね。
「できれば断りたい!」と思うのも無理はありません。
断ることができるのであれば、誰でも断るとは思いますが、残念ながら、税務調査を断ることはできません。
しかし、なんでも言うとおりにしないといけないか?というとそうでもない場合があります。税務署も国民の税金によって運営されていますので、我々納税者の言い分を聞いてくれる耳は持っています。この耳を上手に利用するのが顧問税理士としての腕のみせ所でもあります。
ここでは、断ることができない理由を、法律を見ながら説明したうえで、税務署と上手に交渉するとどういうことが出来るかを少しだけ公開したいと思います。
■税務調査の法的根拠
いきなり条文ですいません、税務調査の法的根拠は次の条文になります。
法人税法第153条(当該職員の質問検査権)
国税庁の当該職員又は法人の納税地の所轄税務署長しくは所轄国税局の当該職員は、法人税に関する調査について必要があるときは、法人に質問し、又はその帳簿書類その他の物件を検査することができる。
実は法律上、「税務調査」という言葉はありません。この法律によって、税務署の調査官には「質問検査権」という職権があると認められています。これが一般的にいう(税務)調査なのです。
■税務調査の罰則
法人税法第162条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2.第153条又は第154条第1項若しくは第2項(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者
3.前号の検査に関し偽りの記載又は記録をした帳簿書類を提示した者
つまり、調査官が質問したことに対して、何も答えなかったり、嘘を答えたような場合、また税務調査で偽物の帳簿を提示した場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則が定められています。つまり、法律上、税務調査は断れないうえに、黙秘権もないのです。
■意外と融通が効く税務調査
ただし、税務調査は「今すぐ」受けなければならない、というものではありません。仕事で多忙な時期や、個人的な事情がある場合、時期はずらしてもらえます。その際は率直に調査官に伝えましょう。私の経験では最大3ヶ月程度遅くしてもらったことがあります。最初の調査の連絡を受ける時期にもよりますが、意外と融通が聞きますので、都合が悪い時はハッキリと時期をずらしてもらうように依頼して下さい。(突然やってくるケースも稀にあります。こういう時も社内には絶対に入らせないで、顧問税理士を呼ぶようにして下さい。)
こういう基本的なところで、対等に税務署と話をしていないケースは結構あるように思います。
税務調査の日程を減らしてもらったりということも出来る場合があります。したがって、出来そうにない場合でも、交渉すべきところは交渉する必要があるのです。
どう交渉するのかは、ウェブ上では勘弁して下さい。税務調査の立会を私に依頼して下さる方には、披露させて頂きます。
※この記事は2012年1月現在の法令等に従って作成されています。