定款の絶対的記載事項の一つに、発行可能株式数(授権資本枠)がありますが、これから先どれだけ増資するかはわからないので、とりあえず1億株とかで決めようと思いますが、それでも大丈夫ですか?
回答
起業される会社が譲渡制限会社であることを前提にして回答すると、どれだけ大きくても「法律的」には大丈夫です。
但し、リスクもありますので、総合的に判断して下さい。
発行可能株式数が授権資本と言われる理由
そもそも発行可能株式数を定める理由は何かというと、生き馬の目を抜く資本主義競争社会(笑)において、増資による資金調達を行う場合に、不特定多数の株主を集めて、いちいち株主総会を開いていられない!!という事情があるからです。
そこで、あらかじめ株主総会で、取締役会に対して「これくらいまでなら取締役会で増資を決めてもらって結構ですよ」という枠を与えておき、その範囲内で機動的に資金調達をするために、発行可能株式数というものが導入されたのです。
つまり、授権資本の「授権」は株主から取締役会に授けられた権利ということになります。
会社法の定め
会社法では、授権資本枠は発行済株式総数の4倍を超えてはならないという制限がなされています。
一方で、譲渡制限会社については、その制限をかけていません。
したがって、これから起業される方は譲渡制限会社を選択されるでしょうから、特に制限はないということになります。
それで、皆さん、困るわけです。
一体、どのくらいの数にすれば良いのか!!と
起業コンサルタントの視点
決めるに当たって検討すべき事項は次の2点だと思います。
1.今後、どれくらい増資する予定があるのか
2.取締役会のメンバーはどれくらい信用できるか
今後、増資の予定がすぐに予定されているのであれば、その分の余裕枠を作っておかないと、増資の際に定款変更の必要があります。
発行可能株式数は登記事項ですので、登記手続きも必要になります。
ここまでは普通に考える話です。
そして、もう一つ絶対に見落としてはいけない点が2点目の取締役会の構成です。
発行可能株式数は授権資本枠ですから、この枠内で取締役会は増資をすることが出来ます。
仮に貴方が1人株主で、他2名と取締役会を構成していたとします。
他2名が取締役会を開催し、授権資本の枠内で貴方の気に入らない株主に対して第三者割当増資をしたらどうなるでしょうか?
そうです。
貴方は会社を乗っ取られる可能性があるのです。
当然、、貴方は株式発行無効の訴訟を提起することは出来ます。
しかし、株価にも手続きにも問題がなければ、貴方はその訴訟で負けるでしょう。
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会社設立が手軽になりました。
しかし、会社を経営していくことは非常に大変なことです。
そんな大変な思いをして作りあげた会社を、設立時に定款を良く考えずにに作ったせいで乗っ取られてしまうかもしれない。。。
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