人間に、「姓」と「名」があるように、会社にも「姓」と「名」があるのをご存じですか?
会社法の第6条には次の記述があります。
第6条 会社はその名称を商号とする。 2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれの商号中に、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。 3 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。 |
つまり、株式会社を選べば、商号中に株式会社という文字を使わなければならず、他の会社形態、例えば合名会社を選べば、商号中に合同会社という文字を使わなければならないということです。
この会社の形態の部分については、社名の前や後につけるのが普通です。
※会社名のど真ん中に会社形態を入れているこんな事例もありますので一概には言えませんが。
前に株式会社をつけることを「まえかぶ」、後ろにつけることを「あとかぶ」などと言います。
例えば、「まえかぶ」であれば株式会社アカウンタックス、「あとかぶ」であればトヨタ自動車株式会社といったような感じです。
以前は「あとかぶ」が主流だったのですが、最近は「まえかぶ」が増えてきたように思います。
「まえかぶ」の場合、「株式会社」が「姓」のイメージ、「あとかぶ」の場合は、「株式会社」の部分が「名」のイメージです。
会社法施工前に存在した有限会社という形態は、なにか成長可能性が「有限」のような意味があって敬遠されたケースもあったようです。
これも、会社の形態が商号の中に含まれればこそ起きる現象ではないでしょうか。
ちなみに、このように会社形態を商号の中に入れなければならないのは、会社の形態によって、定められている債権者保護(取引先保護)の手続きが異なるからです。
会社が不幸にも倒産した場合に、債権を持つ取引先がどのようにして債権を回収すれば良いかが会社法に会社形態ごとに定められているのです。
その意味では、株式会社ではない会社が、株式会社という文字を商号に含めることも禁止されています。
時々、会社をまだ設立されていないのに、株式会社○○○と書いた名刺をもって来社されるお客様がいらっしゃいますが、これは会社法違反になりますので、ご注意頂きたいと思います。
会社名は起業家が一番拘って決めるところですが、字画などに拘って決める方は、是非、会社形態の部分にも気を配って頂きたいところです。
会社形態を除いた部分は字画が良くても、含めると最悪などということも起こりうるからです。
こういう部分でも、専門家に相談しながら設立手続きを進めて頂くメリットがあるように思います。