青色申告とは?
一定の帳簿書類を備え付けることを条件に、税金計算上の恩典、つまり税金をオマケしてもらえる制度です。
以前は青色申告を選択すると、税金計算をする書類の表紙となる第1表が青色になりました。現在はOCR用紙となっているので、青色ではありませんが・・・。
青色申告のメリットは?
青色申告者は、税金申告について各種の特典が与えられます。
その中で税金を計算するうえで影響が大きなものは次のとおりです。
(1)純損失の3年間の繰越し
ある事業年度に発生した赤字の額を、翌年以降に生じた黒字から控除できるという特典です。
《 例 》
※実際の税率は30%ではありません。
また、このように単純に税率をかけることによって、納税額は算出されません。
白色申告者が翌年以後に黒字から差し引くことができる損失は極めて限定的なものとなっています。事業を行った結果として、経費が売上を上回るような典型的なケースでは、白色申告者は赤字を翌年以後に繰越すことはできません。
上の表のケースで、白色申告者の税負担が33(18+15)となることを考えると、この特典が税金計算上どのくらい有利かがおわかりいただけるかと思います。
(2)青色申告特別控除
不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者の所得金額は下の計算式に基づいて行います。
所得金額=総収入金額-必要経費-青色申告特別控除(65万円)
この青色申告特別控除によって軽減される税額は、「65万円×皆さんの所得に応じて適用される税率」と考え頂いて大きな間違いはありません。
たとえば、所得金額が600万円の方であれば税率が20%になるので、65万円×20%で、13万円の税額軽減となります。
なお、青色申告特別控除には、控除額が10万円の制度もあります。
これは、申告書に添付する書類の違い等が主な理由で10万円とされるものです。
ここでは、65万円の控除に基づき説明させていただきました。
(3)青色事業専従者給与
青色申告者は、生計を一にする親族(奥様やお子様等)が皆さんの事業に専属的に従事している場合、その親族に支払った給与を経費とすることができます。
ここで、「生計を一にする」というのは税法上の概念で、おおざっぱには「一緒に生活している」という意味です。厳密にいうと細かなことが色々とあるのですが、ここではその説明は省きます。
白色申告者は一定の金額(原則的には50万円、配偶者は86万円)しか控除されず、支払った給与の全額を経費とすることはできません。
たとえば、夫婦二人で事業をしており、ご主人が奥様に年間240万円の給料を払っているケースでは、青色申告者であれば、その全額を経費とすることができるのに対して、白色申告者は最高でも86万円の控除しかできないことになります。
(4)各種の特例計算
租税特別措置法に定められる特例の多くが、その対象を青色申告者に限定しています。
よく使われる特例制度を例示すると・・・
①30万円未満の資産購入した場合に、税金計算上、その事業年度の経費とできる制度。
(通常、10万円を超える金額の物を購入した場合は、何年かに分けて経費にすることしかできません。)
②中小企業者等が一定の機械、ソフトウェア、車両等を購入した場合に、その購入価額の7%の金額を
税額から控除できる制度。
③従業員に対する教育訓練費の額が一定の金額から増加した場合に、その増加額の25%の金額を税
額から控除できる制度。
などなど、経済対策上の観点から納税者に与えられる税制上の優遇措置のほとんどが青色申告者限定のものとなっています。
この他、税務署が税務調査に入ったときに、一定のルールが税務署に課せられます。たとえば、青色申告者には、税務署員の推計によって会社の税金計算に関わる数字を決めることは禁止されています。
このような例示は、税務調査未経験の経営者の方は、まだピンとこないかもしれませんが、調査の局面では大きなメリットとなるルールが、青色申告者にだけ適用されます。
さて、以上で見てきたように青色申告には数々のメリットがありますが、これらのメリットの影響は国税だけにとどまるものではありません。
国税が軽減される金額とほぼ同額が住民税でも軽減されますし、また国民健康保険料の計算も、上記メリット享受後の所得により算定されます。
青色申告をすることによる支出軽減効果は、相当な金額になるとお考えください。
青色申告のデメリットは?
デメリットはありません。
これは、もちろん私見ですが。
なぜ私がそう考えるかをお話しますね。
青色申告者として税務署に承認してもらうためには、所得税法が定める帳簿書類を備え付けて取引を記録し、保存することが必要です。
この事務作業量の増加が、白色申告者と比較すればデメリットと言えないこともありません。
ですが、ここで税務署が要求している帳簿というのは、本気で事業をするのであれば、税金計算以外の局面でも必要となってくるものです。
たとえば、銀行から融資を得るとき。
また、事業の状態や成績を把握するためにも必要です。
つまり、事業をするための資金調達、及び事業の現状把握や将来見通しをたてるためにもこれらの帳簿やその帳簿を作成・保存するための管理体制が必要であるということです。
これらは、事業運営をするために必須の機能だと思いませんか?
帳簿書類の作成等が、税金計算上のメリットを受けるためだけに必要なのであれば、そのメリットと事務作業量の増加を比較検討する必要があるでしょうが、事業の必須事項であれば検討の余地はありません。
むしろ、積極的にそれをすることによって、事業コストの一つである税金を減らすべきです。
事業を本気で行っていくなら、ぜひ帳簿書類の作成等を行い青色申告の承認を受けてください。
青色申告者になるためには?
納税地の所轄税務署長に「青色申告の承認の申請書」を提出し、あらかじめ承認を受けなければいけません。
申請書には以下の提出期限があります。
①新規開業の場合
業務を開始した日から2ヶ月以内。
ただし、その年の1月15日以前に開業した場合は②の期限。
②原則
承認を受けようとする年の3月15日。
青色申告の承認申請手続きや作成等しなければならない帳簿書類についての詳細については、弊社コンサルタントへの無料相談をお気軽にご利用ください。