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黒字に調整した試算表を銀行に提出することの意味~後編~

償却不足や粉飾によって黒字調整した試算表、決算書を提出することの効果で言えば、むしろ負の効果を念頭に置く必要があると思います。

見破られたときの影響の方が心配


融資の申込み時に経営者がすべきことは、貸し手の不安をできる限り払拭することです。
黒字調整した試算表、決算書を提出すれば、貴方が会社の実態をごまかす経営者であるという心証を銀行に植えつけ、かえって貸し手を不安にするのではないでしょうか?
銀行が格付けを行うときには、「経営者の能力」という項目が一定割合ではありますが入っています。会社の実態をそんなやり方でごまかして、格付けにプラスの効果をもたらすでしょうか?
さらに、銀行側が償却不足や粉飾を見破っていても、ほとんどの場合、銀行の担当者は「社長、バレてるよ。」とは教えてくれません。
銀行は銀行なりのやり方で御社の実態価値を測定し、その数値で格付けを行っています。
彼らの持つその数値は、御社には見えません。
つまり、御社は、銀行側と同じデータに基づき会社の現状と今後について話し合う機会を失います。実態を表していない試算表や決算書で、会社と経営者をアピールできるでしょうか?
また、粉飾決算で融資をひきだす行為は、そもそも詐欺罪にあたります。
決算書等の提出資料をごまかしてお金を借りることによって、金融機関に損害を与えれば、その賠償請求をうける可能性があります。
償却を削ったり粉飾をして黒字にした試算表や決算書を提出するのは、効果が見込めないばかりか、上記のようなリスクを抱えています。
私ならやりません。

格付けは決算書に基づき行われる


試算表は、金融機関にとって権威のある資料ではありません。
試算表提出時には成績が良かったのに、決算書をもらったら赤字だった、という経験を銀行員がたくさんしているであろうことは想像に難くありません。
一方、決算書は、それに基づいて税金計算が行われるため滅多なことはできません。
粉飾をして利益を増やせば税金を余分に払うことになります。
また、会社法上、決算は株主総会の承認を得て確定することになっているので、決算書は法律上の裏づけも持っています。
そんなこんながあって、金融機関は決算書に基づいて御社の格付けを行います。
格付けが決まると、御社に貸し付けることのできる金額の大枠がその時点で決まってしまいます。
試算表は銀行にとって必須資料ではありますが、あくまで参考資料で、融資をうけるための決定打にはなりません。
だからこそ、ごまかすことによるリスクを抱えてまで成績を良く見せるようなことをせず、成績不振の原因分析を行い、その解決策を策定し、解決策の実行結果も踏まえながら今後の見込みを説明することが得策です。この一連の情報を自主的に提供し、その流れの中で、借りるお金の使いみちを示し、返済が可能であることを伝えるのです。
そして、何より、後からやってくる決算に向けて、少しでも銀行がお金を貸しやすくなる決算書を念頭にイメージしつつ、業績の維持あるいは向上に向けて邁進されるのが良いのはないでしょうか。

財務部

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