FUNDINNO(ファンディーノ)とは、小額から始められる株式投資型サービスです。概要やメリット・デメリットを知っておけば、よりスムーズに取り組めるでしょう。FUNDINNOの特徴や実績、投資を始めるまでの流れを紹介します。
サイト管理者の紹介 山口 真導 (株式会社アカウンタックス 代表取締役) 公認会計士・税理士 『起業5年目までに知らないと損する 節税のキホン』など節税や資金繰りを著書、YouTubeチャンネルによる動画配信するなど社長の手取りをトコトン増やすセミナーなども開催など資金繰りの悩みを節税対策と銀行対策で解決する専門家として活動。 |
もくじ
FUNDINNOとは?
個人投資家の間で近年話題の『FUNDINNO(ファンディーノ)』とは、どのようなサービスなのでしょうか、まずは、FUNDINNOの基礎知識を理解しておきましょう。
ベンチャー企業に投資できるサービス
FUNDINNOとは、ベンチャー企業に直接投資できる『株式投資型クラウドファンディングサービス』です。普通株式や新株予約権に、1口10万円前後の小額から投資できます。
FUNDINNOで紹介されているベンチャー企業は、厳正な審査を通過し将来性を認められた企業ばかりです。投資家として応援する企業の成長を楽しめるほか、IPOやM&Aなどによる大きなリターンも期待できます。
『エンジェル税制』の対象企業に投資した場合は、税制優遇を受けられる点も特徴です。個人投資家でも手軽にエンジェル投資を行える方法として、FUNDINNOは近年大きな注目を集めています。
FUNDINNOの仕組み
クラウドファンディングは、資金を集めたい個人や企業が、不特定多数の人にネット上で資金提供を呼びかけられるサービスです。融資型・寄付型・購入型などの種類があります。
株式投資型クラウドファンディングであるFUNDINNOは、資金調達したいベンチャー企業が非上場株式を発行し、ネットを通じて多くの投資家から少しずつ資金を集める仕組みです。
証券取引所で株式の売買を行えない非上場企業にとって、資金調達は大きな課題といえます。株式投資型クラウドファンディングを利用すれば非上場企業でも資金を集めやすくなるため、さまざまな業界のベンチャー企業がFUNDINNOに参加しています。
FUNDINNOの評判や実績
FUNDINNOは、多くの投資家やベンチャー企業から支持を集めている資金調達プラットフォームです。評判や実績など、注目されているポイントに迫ります。
多くの投資家が登録
FUNDINNOは多くの投資家から高い評価を受けているクラウドファンディングサービスです。実際に、2021年8月時点での登録ユーザー数は7万人を超えています。
評判を裏づける大きなポイントが、掲載企業に関する情報量の多さです。経営状況や将来性、企業のインタビュー動画など、投資先の判断材料が豊富に用意されています。
63億円超の累計成約額など豊富な実績を誇っている点や、企業と投資家の双方に厳格な審査を設けて投資の安全性を高めている姿勢も、人気の高さを示す要素です。
イグジットに成功した案件も
株式投資型クラウドファンディングは、投資先企業がIPOやM&Aなどのイグジットを成功させることで、投資家の利益につながる仕組みです。
2021年には、上場によりイグジットに成功した企業も誕生しました。参加企業が株式譲渡ではなく新規上場でイグジットを成功させたのは、FUNDINNOでも初めてのケースです。
これらのことからも、募集企業に対するFUNDINNOの審査眼がいかに優れているかが分かるでしょう。
FUNDINNOの実績
国内初の株式投資型クラウドファンディングとして、業界をけん引してきたFUNDINNOは、実績に関しても国内No.1を誇っています。
2021年8月現在の累計成約金額は63億円を超え、累計成約件数も190件に達しています。21年5~7月の募集金額は全て1億円を突破しており、資金調達手段として定着しつつあることが分かるでしょう。
21年6月には、株式投資型クラウドファンディング史上最高となる募集金額に到達しています。この案件では、新株予約権型で募集を開始し、約15分で上限応募額9900万円が集まりました。
FUNDINNOのメリット
投資家としてFUNDINNOを利用するメリットを紹介します。さまざまな魅力があることを知っておきましょう。
小額から投資が可能
ベンチャー企業への投資は、数百万~数千万円の資金が必要になるイメージを持たれがちです。しかし、FUNDINNOを利用すれば、1案件あたり10万円程度の小額から投資できます。
資金に余裕がある場合は、複数案件に対して小額ずつ分散投資できる点もメリットです。さまざまな業種の企業が参加しているため、異なる分野の企業に投資すればリスクを分散できます。
厳格な審査を受けて参加を認められた企業とはいえ、ベンチャー企業は一般的に投資先としてリスクが高いのも事実です。小額・分散投資でリスクを軽減できれば、気になる企業を支援しやすくなるでしょう。
エンジェル税制で節税に
FUNDINNOでエンジェル税制の対象となる企業に投資すれば、節税につながります。エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を行った際に、税制上の優遇措置を受けられる制度です。
エンジェル税制では、投資した年に受けられる税制上の優遇措置を、以下二つの中から選択できます。
- ベンチャー企業への投資額から2000円引いた金額を、その年の総所得金額から控除
- ベンチャー企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
また、非上場ベンチャー企業の株式の売却損を、その年の他の株式譲渡益と相殺することも可能です。相殺しきれなかった分は、翌年以降3年にわたり株式譲渡益と相殺できます。
イグジットによる大きなリターン
FUNDINNOのメリットには、イグジットによる大きなリターンを期待できることも挙げられます。イグジットとは、新規上場や第三者への売却により利益を狙う企業戦略です。
非上場企業が上場して株式を公開すると、株価が大きく値上がりする可能性があります。M&Aによる第三者への売却に成功した際も、株価の上昇が期待できます。
海外では、ベンチャー企業が上場した後、株価が100倍以上に跳ね上がることも珍しくありません。日本国内の非上場企業も、上場時に株価が10倍を超える可能性は十分にあります。
新株予約権への投資も可能
FUNDINNOでは、普通株式だけでなく新株予約権にも投資できます。新株予約権とは、発行会社に行使することで株式の交付を受けられる権利です。
新株予約権には行使期間が設定されており、行使期間までは株式の交付を受けられません。しかし、投資した会社が大きく成長し株価が上昇すれば、権利を行使する際に大きな利益を得られるでしょう。
行使期間中は好きなタイミングで株式の交付を受けられる点もメリットです。利益が確定しているタイミングで権利を行使し、交付された株式を売却すれば、確実に利益を獲得できます。
FUNDINNOのデメリット
FUNDINNOにはデメリットがあることも覚えておきましょう。メリットと併せて知っておけば、FUNDINNOへの理解をより深められます。
IPOなどがなければ利益が出ない
上場株式と異なり、未公開株は市場で頻繁に取引されるわけではないため、値動きがほとんどありません。IPOやM&Aにより株価が上昇しなければ、利益を出すことはほぼ不可能です。
FUNDINNOで得た株式で儲けるためには、投資先企業がイグジットを成功させるまで待つ必要があります。配当金や株主優待など、株式を保有しているだけで得られる利益もありますが、全ての企業で運用益を得られるとも限りません。
気長に待てば確実に企業が成長するわけではない点もデメリットです。投資先企業を選ぶ際は、イグジットを達成する可能性を見極めることが重要です。
投資額に制限がある
FUNDINNOで一つの企業に投資できる金額の上限は、年間50万円です。大きな成長を期待できる企業があっても、FUNDINNOを通じて50万円を超える金額での支援はできません。
利益のみを追求するのではなく、応援する企業の成長を気長に楽しむ意識で取り組む必要があるでしょう。投資先にプロフィールを公開できる機能を使えば、個人的なサポートを行うことも可能です。
また、募集期間中に集まった出資額が企業の目標金額に達しなければ、プロジェクト自体が不成立となります。募集期間後のキャンセル可能期間終了後に、目標額を割り込んだ場合も同様です。
自由に売買が行えない
FUNDINNOで投資先から得た株式は、発行元企業が譲渡制限を設けている場合、発行元の承認を得なければ売買できません。
そもそも未公開株には上場株式のような活発な取引市場がなく、相場や気配も存在しないため、売買自体が非常に困難です。流動性や換金性に関しては、上場株式より著しく低くなります。
現金化して利益を出すためには、基本的に投資先企業のイグジットまで待たなければなりません。取得した株式は、年単位での長期保有を覚悟する必要があります。
FUNDINNOの審査は厳しい?
FUNDINNOへの参加を希望するベンチャー企業に対しては、独自の厳格な審査が行われます。投資家側に利用条件が設けられていることもチェックしておきましょう。
2段階で審査を行っている
FUNDINNOでは、参加を希望する企業に対し、2段階で審査を行っています。1段階目で営業審査グループの審査を通過しても、2段階目にCEOや関係部長の全会一致で認められなければなりません。
1週目の審査で資料収集やヒアリングなどを行い、2週目が終わるころに審査の1段階目が終了します。営業審査グループが作成した資料を基に2段階目の審査が行われ、3週目の終わりごろに全ての審査が完了する流れです。
2段階で行われる厳格な審査を通過する企業は、全体の5%程度とされています。FUNDINNOで紹介されている企業は、独自の厳しい『目利き』により厳選された企業なのです。
条件を満たす必要がある
投資家に利用条件を設けていることもFUNDINNOの特徴です。次に挙げる全ての条件を満たさなければ、FUNDINNOでの投資はできません。
- 有価証券の売買などの投資経験が1年以上ある
- 300万円以上の金融資産を保有している
- 投資金が生活費・借入金・使途確定金ではない
- 満20歳以上80歳未満である
- 法人ではない
上記のほかにも、FUNDINNOが定める条件をクリアする必要があります。ある程度の資産や投資経験がある個人投資家でなければ、サービスを利用できないことが分かるでしょう。
FUNDINNOへ投資する流れ
投資家登録から実際に投資するまでの流れについて解説します。おおまかな手順を知っておけば、よりスムーズに手続きを進めることが可能です。
投資家登録をする
FUNDINNOでベンチャー企業に投資を行うためには、最初に投資家登録を行う必要があります。公式サイトのトップページ上部にある『新規登録』から手続きを進めましょう。
投資家登録の手続きでは、収入・資産状況・投資経験・投資目的などの入力を求められます。運転免許証やパスポートなど、顔写真付き本人確認書類の用意も必要です。
手続きを進めて口座開設申請まで行うと、数日後に審査結果通知が登録メールに届きます。その後、郵送されてくるコードを公式サイトから入力すれば、投資家登録は完了です。
投資する企業を決める
投資家登録が済めば、応援したい企業に投資できるようになります。新規の募集案件情報は、投資申し込み受付開始の約1週間前から掲載されるため、受付開始までに企業情報をしっかりと確認して判断しましょう。
各案件への投資は、受付開始から先着順での申し込みとなります。投資額が上限募集額に達した時点で募集が締め切られるため、人気の案件は申し込みが間に合わなくなる恐れもあります。
FUNDINNOでのこれまでの最速目標達成時間は2分弱です。確実に投資を行いたい企業がある場合は、投資申し込み受付開始の日時に気を付けておく必要があるでしょう。
金額を決めて振込すれば成立
投資する企業が決まったら、案件ごとに設定されている投資コースを選択しましょう。10万円コースや50万円コースなど、いくつかのコースが設けられています。
応募額が目標額に達した状態で募集期間が満了し、9~10日が経過した時点で案件が成立します。成立日の翌営業日から3営業日が振込期間です。振込先は案件ごとに異なります。
新株予約権に投資する場合は、指定口座に振込を行った後、3営業日目にFUNDINNOから企業に支払いが行われます。企業への支払いが完了した日が、新株予約権者の登録日です。
FUNDINNOで投資をするなら
FUNDINNOを利用する際のポイントやコツを紹介します。お得なおすすめ情報もチェックしておきましょう。
複数社へ投資してリスクを分散させる
FUNDINNOで投資を行う場合は、予算を1社に集中させず、複数の企業に分散させるのがおすすめです。投資である以上は損をするリスクがあるものの、複数社に投資することでリスクを分散できます。
分散投資を行う際、異なる分野の企業に投資すれば、リスクの分散効果がより高くなります。企業情報をきちんとチェックし、飛躍を期待できそうな企業を選んでみましょう。
換金性が低い点にも注意が必要です。資産の長期保有を前提とした投資になるため、余裕資金の範囲で気長に応援するスタンスで構える必要があるでしょう。
ポイントサイトやキャンペーンも活用
FUNDINNOではキャンペーンを実施することがあります。『Amazonギフト券1000円相当プレゼント』や、『2万円分の松阪牛が抽選で当たる(外れてもAmazonギフト券500円相当プレゼント)』が、過去のキャンペーン例です。
キャンペーンは期間限定のものが多く、実施時期も決まっていないため、公式サイトなどで随時チェックしましょう。
各種ポイントサイトを経由してFUNDINNOの投資家登録を行えば、ポイントをもらえる場合があります。キャンペーン中なら2000~3000円相当のポイントをもらえることもあるため、主要ポイントサイトを小まめにチェックするのがおすすめです。
イベントに参加するのもおすすめ
投資への不安を感じている人は、FUNDINNOが主催するセミナーなどのイベントに参加してみましょう。疑問などの解消に役立つほか、情報収集の場としても重宝します。
セミナーの内容は、FUNDINNOやエンジェル投資に関するものがメインです。投資家と企業の交流を図る意味合いで開催されるイベントもあります。
最近はオンラインで実施されるセミナーが多いため、気軽に参加できるでしょう。積極的にイベント参加を繰り返すことで、投資家としての成長も期待できます。
まとめ
FUNDINNOとは、ベンチャー企業に投資できる株式投資型クラウドファンディングサービスです。小額から投資できることや、エンジェル税制で節税につながるなどのメリットがあります。
投資先企業がイグジットに成功すれば、大きなリターンが期待できる点も魅力です。将来性が高い企業に投資し、エンジェル投資家として気長に成長を楽しんでみましょう。