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事業計画と倒産には深い関係がある

起業の成功確率という話を、私は起業セミナーでは良くさせて頂きます。起業ナビの経営理念は、「起業の成功確率を上げる」ですので、我々のスタート地点でもあります。

ある統計では、
起業1年後に生き残る確率は80%
3年後には65%
5年後には15%
10年後には6%
と言われています。

これを見て、多くの方が、起業の現実は厳しいということを言います。
私もそう思います。

しかし、起業を取り巻く環境が厳しいから廃業・倒産に追い込まれるのか?と問われれば、私はノーと回答しています。やるべきことをやっていない起業家・経営者も沢山いると感じています。

その一つが、事業計画(予算という場合もありますが)を作っていないということです。

これから起業する方からすると「あれ?資金調達するために事業計画を作るんじゃなかったんですか?」と思った方も多いと思います。
その疑問は鋭いです。

確かに、ほとんどの経営者が資金調達するために事業計画を作るのですが、その多くが、資金調達が終わると、その計画の存在を忘れて、成り行き経営に突入するのです。

成り行き経営の馴れの果てが廃業・倒産です。
続きでは、成り行き経営の問題点について説明していきたいと思います。

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■会社の経営状態が良いか悪いかが明確でない経営者がウジャウジャいます。

私がセミナーでこれから起業しようという方に良く聞く質問があります。
「例えば、1億円の利益が出ていたとしたら、この会社の経営状況は良いですか、悪いですか?」

すると、ほぼ全員の参加者が「良い会社」と言います。

続けて、「なぜ、良い会社だと思いますか?」と聞くと、「利益が1億円も出ているから」という回答です。
さらに「1億円という利益が良いという根拠は?」と聞くと、「なんとなく大きな数字なので・・・」という回答が返ってきます。

実は、自分の会社の状況を「なんとなく◯◯」と答えるのは、まさに倒産の予兆なのです。

本来、「良い」か「悪い」かを判断するためには、基準となる値が必要です。
基準があれば、「なんとなく良い」という考え方は出て来ません。

■間違った基準その1「黒字なら「良い」」

「黒字だから良いじゃないか!」と反論される方がいらっしゃいます。
本当に黒字だったらなんでも良いんでしょうか?

1億円の利益が出ている会社が、毎年返済しなければいけない金額が100億円あったらどうですか?
とてもじゃないですが、これでは返済出来ないですよね。

でも、実際は、黒字だと良い。赤字だと悪い。という人が一番多いんです。

この場合、基準値は利益ゼロです。
利益がゼロということは、会社に残るキャッシュもないということになりますので、安定的な経営には程遠いということになります。

そんな会社をやりたくて起業した人などいないはずです。いま、この記事を読んで笑っている貴方も仲間入りする可能性が大いにありますので、ご注意下さい。

■間違った基準その2「去年と比べて「良い」」

「黒字だから良い」と並んで多いのが、「去年と比べて良い」です。

確かに、去年より良いということは、良さそうです。
しかし、景気には浮き沈みがありますので、自然にプラス。自然にマイナス。ということがあります。
また、起業初期のまだ小さな会社の場合、1件の取引先が増えるだけで、前年比数百%増ということがあり得ますので、前年比で良いから良いという判断は適当ではありません。

■基準は自分で決めましょう。

起業の志を達成したいと思うなら、結局、基準は自分で決めるしかありません。その基準となるのが事業計画です。

事業計画より実績が下回っているとしたら、目標達成のために何か対策が必要だというシグナルです。このシグナルを敏感に感じ取り、適切な対策をとった経営者だけが、事業計画に近似した結果を得ることができます。このシグナルを的確に受けられるというところが、事業計画に基づく経営の最も優位なポイントです。

このような経営を行なっている起業家・経営者は、黒字だから良いという低いレベルの経営ではなく、また、去年と比べてどうという後を向いた経営ではない、前向きな上昇志向の経営を実現しています。

そして、このような経営者は確実に存在しています。

■大量の出血、あなたはどうしますか?

廃業・倒産するということは、会社に資金がなくなることを言います。人間で言えば、血液が体の中に失くなってしまう状態と同じです。つまり、時間的経過はともかく会社が「出血」している状態があったということです。

普通、体から血が出ていれば止血するでしょう。しかし、会社から血であるお金がドンドン流出しているのに止血をしない経営者がいるからこそ、廃業・倒産という結末が存在します。

この原因は、会社が出血していることに気がついていないか、気がつくタイミングが遅すぎるということです。
出血のシグナルを見逃さないようにするためにも、事業計画という基準を持つことが重要なのです。

事業計画は資金調達のためにあらず。

これを肝に命じて頂ければ、10年後も残る起業家・経営者になれると思います。

 

※この記事は2012年2月末現在の法令等にしたがい作成されています。

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