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飲食店開業までの流れを徹底解説!必要な手続きから準備するものまで

飲食店の開業を計画しているが、必要な手続きや手順を確認しておきたいという個人事業主がいるかもしれません。またこれから自分のお店をオープンしたいが、何から始めたらよいのか分からず情報収集をしている最中の方もいるのではないでしょうか。

そこで飲食の開業に向けて、コンセプトづくりから実際にオープンするまでの流れを解説します。時期ごとに必要な準備や手続きなどをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、今回は個人事業主として開業する前提で説明していきますので、最初から法人で開業する場合は、法人設立手続や法人での許認可など、個人と法人を適宜読み替えながら利用してください。

山口真導 サイト管理者の紹介
山口 真導 (株式会社アカウンタックス 代表取締役)
公認会計士・税理士 『起業5年目までに知らないと損する 節税のキホン』など節税や資金繰りを著書、YouTubeチャンネルによる動画配信するなど社長の手取りをトコトン増やすセミナーなども開催など資金繰りの悩みを節税対策と銀行対策で解決する専門家として活動。

 

飲食店開業の流れ|ロードマップ形式で確認

飲食店開業の流れ|ロードマップ形式で確認

ここでは、飲食店を開業する際のロードマップを紹介します。どのタイミングで何をする必要があるのか確認し、計画的に進めていきましょう。

 

飲食店開業の1年前:コンセプト・情報収集 

飲食店を始める際に、とても重要なのがコンセプト作りです。参入しようとしている飲食業界の市場やニーズを調べて、自店で何を売り出していくのかコンセプトを決めましょう。

飲食業界は競合となる店舗もあるので、他社との差別化を図る必要があります。開業してから十数年経っても顧客が訪れるような、そんな店舗づくりを目指してください。

コンセプト作りは、7W2Hの視点で進めていくとより具体的に打ち出すことが可能です。

Why 開業の目的を明らかにする。
When いつから準備をするか、いつオープンするかを決める。
Where 店舗の立地やエリアを選定する。
Who 誰が主体となって、どのメンバーでやるのか確認する。
Whom どんな客層を狙うか具体的に洗い出してみる(年齢・性別・所得の高さなど)
What 提供するメニューやサービスなどを考案する。
Which おすすめや目玉商品を決める。
How 店舗の認知度を上げる方法を考える。(集客の戦略を練る)
How much 予算と提供するサービスの費用のバランスなどを検討する。

 

飲食店開業の10ヵ月前:事業計画書の作成 

コンセプトが定まったら、いよいよ事業計画を作成します。計画書として文書化しておくと、スタッフ間での進捗状況の確認・共有に役立つでしょう。

また開業資金を集めるために、融資を受ける場合もあるはずです。金融機関へ融資の申請を出す際に、「事業計画書」の提出が重視されます。

事業計画書に決まった書式はありませんが、事業の方向性や信頼性、根拠を提示するのがポイントです。

・事業のコンセプト
・ビジョンや理念、目的など
・自店の特徴や顧客に提供できる価値
・事業の市場規模や競合他社の存在
・将来の展望やサービス展開
・販売戦略に基づいた数値計画(粗利=売上ー売上原価)
・生産方法や仕入れ先
・融資の返済計画

事業計画を作成する際のポイントは、具体的で分かりやすく記載することです。さらに根拠のある数値を記入すると、具体的な方針や必要な取り組みが見えてくるでしょう。

社内向けの事業計画と社外向けの事業計画を作成しておけば、用途に合った内容でまとめられます。社内向けの場合は、明確なビジョンや開業の背景など志を共有できるように工夫するのが大切です。

また社外用の場合は、金融機関や株主を納得させるための資料になるので、収益性をアピールするように心掛けましょう。

 

飲食店開業の6ヵ月:店舗にする物件探し 

顧客を獲得できるか左右するお店の立地や物件探しは、慎重に行いましょう。市場調査や顧客のターゲット層、お店のコンセプトに合う物件の広さや間取りが決まったら、実際に物件を見て回るタイミングです。

不動産会社に問い合わせたり、不動産ポータルサイトで物件の情報収集をしたりして、条件に合う店舗を探してみてください。

・過去に入っていたお店の内装や設備が残っている「居抜き物件」
・一つの厨房を複数人でシェアする「シェアキッチン」
・デリバリー専業

などコンセプトに合わせて、専門のサイトを閲覧してみると良いでしょう。

気になる店舗を見つけたら、内覧したり周辺を散策したりして、アクセスの良さや人通りの多さ、近辺の競合店などをチェックするのも重要です。またピンポイントの時間帯だけではなく、時間や曜日をずらして視察することも物件選びのコツだと言えます。

 

飲食店開業の5ヵ月前:資金調達 

利益を算出する数値計画や売上を立てるための販売計画・仕入計画などを作成しているうちに、必要な資金が具体的に見えてくるでしょう。

20坪ほどの飲食店をオープンする際、一般的に1,000万円~1,500万円程度の資金が必要になると言われています。すべて自己資金で賄うのは難しいと考えられるので、資金繰りに奔走する個人事業主もいるのではないでしょうか。

資金調達の手段として、以下の5つが挙げられます。

 

1.日本政策金融公庫の新創業融資制度

政府系金融機関で、要件を満たす新規事業者を対象に融資制度を設けています。無担保・無保証人で利用できるのが強みで、令和元年時点で44,102企業に資金の貸し出しをしているようです。

 

2.地方銀行・信用金庫など金融機関からの融資

新規事業で担保もない場合は、一般の金融機関から融資を受けるのが難しい傾向にあります。地方銀行や信用金庫からの融資を検討する前に、補助金や助成金の利用を検討してみるのも良いでしょう。

もしくは万が一返済が滞った場合のために、「保証協会付き融資」を受ける方法もあります。保証協会付き融資とは、借入金の返済ができなくなった際に、保証協会が立て替えをしてくれるのです。銀行の融資審査を受ける上で有利になるので、一度検討してみると良いでしょう。

 

3.ネット銀行から資金調達

ネット銀行から、飲食店融資を受けられるケースもあります。審査の通過が必須なので、条件を確認してから申し込むようにしてください。

 

4.クラウドファンディングで応援者を募る

認知度の拡大やファンの獲得、そして資金調達に有効なのがクラウドファンディングです。ただし、応援したくなる要素を盛り込んだPR力が必要になります。

 

5.親族や友人から借りる

身近に応援してくれる協力者がいれば、資金の援助をお願いできるかもしれません。しかしお金の貸し借りによるトラブルが発生しないように借用書を作成しておくと良いでしょう。

 

飲食店開業の4ヵ月前:店舗の外装・内装工事 

コンセプトや店舗の工事にかける資金が決まったら、実際に内装や外装のデザインを決める過程に入ります。店舗のデザインは、集客や店舗のブランディング、働くスタッフのモチベーション維持という点でとても重要です。

いくつかの業者に問い合わせたり、見積もりをお願いしたりして、比較・検討してみてください。

また内装設備のない「スケルトン物件」と、設備や備品のある「居抜き物件」では、工事にかかる費用や時間が異なります。予算やオープンまでの日取りを考えて、計画通りに進めるようにしましょう。

 

飲食店開業の3~4ヵ月前:厨房の備品購入 

内装の工事完了の時点で、厨房の備品発注を開始しましょう。

・シンクや調理台
・ガスオーブンやレンジ
・冷凍冷蔵庫
・食器棚

など、提供するメニューの調理で使用する備品を揃えていきます。

保健所からの営業許可を得るために、食品衛生法で定められた規格基準も確認しておかなくてはなりません。必要に応じて、冷蔵設備を搬入するためです。加えて、管轄区域の保健所が運営する公式ホームページより、食品関係の案内も閲覧しておきましょう。

 

飲食店開業の2~4ヵ月前:メニューの立案・再確認 

飲食店の開業において、メニュー開発がもっとも手を抜けない工程だと言えるでしょう。

・狙った客層に合うメニュー展開
・利益に繋げるための価格帯や使用する材料選び
・集客の目玉になるようなおすすめメニューやイチオシメニュー
・話題性のある季節限定メニュー

など顧客にとって、魅力的なメニューの立案が求められます。

しかしコストのかかるメニューを格安で提供すると、利益が出ないので注意しなければなりません。使用する食材や原価を調査して、利益率や売上原価率に考慮してメニューを考えることが大切なのです。

最近は高い原価率で特別高級な料理をリーズナブルな価格で提供する一方で、飲食時間を制限するなどして客席回転率で勝負するお店がもあります。またその一方で、一定の会費を受け取る以外は、原価で料理を提供する店など、ビジネスモデルで勝負する飲食店もあります。

さらに競合となる店舗と、提供しているメニューや価格帯のチェックも必須です。調査した結果を踏まえて、自店ならではの価値を提供できるようにメニュー立案・再確認をしてみてください。

 

飲食店開業の1ヵ月前:食器・備品の発注+各種届出・手続 

厨房の備品が揃ってきたら、食器や調理道具など細々とした備品も発注していきます。また同時進行で、各種届出の手続きも進めていきましょう。

飲食店開業前には、以下2つの資格を取得しなければなりません。

<食品衛生責任者>

食品を扱う施設では、食品衛生責任者を選任しなければならない。各都道府県等の食品衛生協会の主催する、講習会を受講すると取得できる。

<防災管理者>

席数30人以上の飲食店で、取得が義務付けられている。指定されている講座を受講し、所轄の消防署へ届け出なければならない。

ほか必要な届け出として、下記をご覧ください。

・個人事業主の開業届(税金の関係)
・飲食店営業許可書(衛生上必要)
・労災保険、雇用保険(従業員を雇う場合)
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(アルコールの提供)
・菓子製造業許可(パンやケーキなどのお菓子をテイクアウトでも提供する)
・酒類販売業免許(酒類を店舗で販売する)
・風俗営業許可(接客サービスを伴う飲食店※ただしカウンター越しの接客では不要)

営業のスタイルや提供するサービス内容によって、必要な届け出を確認しておきしましょう。

 

飲食店開業の1ヵ月前~オープンまで:採用活動・スタッフの教育 

オープンの1ヶ月前になると、スタッフの募集を始めます。キッチンスタッフ・ホールスタッフの採用・教育・マニュアルの整備などオープンに向けて取り組みましょう。

またコンセプトやビジョンの共有をスタッフ間で行い、明るい雰囲気づくりをするのも大切です。過度な緊張感や切迫感があると、お客様にも伝わってしまうかもしれません。

スタッフの働きやすい環境にするためにも、余裕を持ってトレーニングや教育する期間を設けてみてください。

 

飲食店開業の2週間前:販売促進 

開業したばかりだと、お店の認知度が低い状態だと予想できます。顧客を獲得するためには、集客してお店の存在を知ってもらうことから始めましょう。

集客販促には、いくつかの方法があります。

・店舗ホームページの作成
・Googleマイビジネスへの登録
・SNSからも発信
・ポスティングや新聞折込み
・近隣への挨拶回り

単に露出度を増やすだけではなく、ターゲットに合った媒体選びも大切です。若い世代の集客ならSNSで発信、地域住民ならポスティングや新聞折込みを利用してみると良いでしょう。

 

飲食店開業の1週間前:レセプション・プレオープン 

<レセプション>

飲食店におけるレセプションは、招待会を指します。新規オープン前に、事業に携わった関係者やスタッフの家族、友人を集めてお店のお披露目をするのが目的です。

レセプション開催時には、招待客に対してアンケートを実施し、改善点の洗い出しをするケースあるでしょう。

<プレオープン>

本オープンの前に、お試しでお客様を呼び込み料理を振る舞うのがプレオープンです。しばしばレセプションと混同されますが、本番前の予行練習というニュアンスになります。

オーダーから料理を提供するまでにかかる時間や、接客の流れ、マニュアルの確認、など最終チェックを行なうのが特徴です。

 

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飲食店開業の流れで気を付けるポイント

飲食店開業の流れで気を付けるポイント

飲食店の開業において、いくつか気を付けるポイントがあります。不測の事態が起きて、慌てないためにも、前もって確認しておきましょう。

 

余裕のあるオペレーション体制で

利益を出すために人員を少なくしたり、食材の仕入れを減らしたりすると、お客様に満足いくサービスを提供できない恐れがあります。オープンから3ヶ月は、目新しさがあり来店してもらいやすいでしょう。

しかしお店のファンや顧客を獲得するためには、「このお店に来て良かった」と思ってもらえるようにサービスの質にこだわることが重要です。丁寧な接客を心掛け、品切れもできるだけないような店舗経営を心掛けましょう。

 

販売促進を怠らない

オープン前もオープン後も、お客様を呼び込む販売促進が欠かせません。認知度を高める集客戦略や、問題点を見つけて改善を繰り返すなど日々質の良いサービスを提供できるように取り組むことが大切です。

特にオープンして間もないと、忙しくて目の前のことでいっぱいになってしまうかもしれません。しかし毎日の積み重ねが、数十年続くお店になるかを左右するのです。

そういう意味では、コロナ禍で出てきたメニューの電子化は最初から実施することをオススメします。LINE登録の勧誘などもパッケージになっている仕組みもありますので、こうしたものを利用して、一度でも来店頂けたお客様に対して、来店後のフォローも出来るようにしておくことが重要です。

問題を先送りにせず、問題点があればスタッフ間で共有し、翌日の営業から改善できるようにしてみてください。

 

収支計画が入念に

一般的に飲食店を開業してから数ヶ月~1年ほどは、赤字経営になると言われています。赤字期間に金銭面で頭を抱えないためにも、運転資金を用意しておきましょう。

また、

・目標売上高の設定

・損益分岐点(支出と売上が同額になる)の算出

など、しっかりとシミュレーションをして収支計画を入念に立てておくのも肝心です。

 

まとめ 

飲食店を開業する流れとして、コンセプトづくりや事業計画を軸に必要な手続きや契約、備品の発注などを進めていきます。

またお店のオープンに向けて多額の資金を要するケースも多く、資金調達をしなければなりません。資金調達の方法として、政府系の金融機関や地方銀行・信用金庫、クラウドファンディングなどが挙げられます。

しっかりとした収支計画を立てて、顧客を獲得できるような店舗経営を目指しましょう。

法人設立手続 創業・事業計画作成 個人事業主

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